RNA
生物が誕生する前の大昔の地球の原始大気には、今の生物が持っているような複雑な分子はなく、単純な分子しかありませんでした。そこから生命が誕生するまでなにがあったのでしょう。
まず単純な分子が大きな分子になるという化学進化が起こったことが考えられる。単純な単位分子が、分解されるより速く縮合していくことが必要です。
その後単純な分子は大きな分子となり様々な官能基を手に入れることで分子間での化学的な相互作用が可能になりました。相補的な官能基なら会合します。
生物で不可欠な自己複製も、その相補性に基づいた原理に従っている。つまり自己複製系の成立には分子の複雑化や多様性の獲得が必要であったと思いました。ただそこに高分子化合物があるからと言って生命現象が存在することとは程遠いと説明されました。
最近のニュースで「はやぶさ2」が「小惑星りゅうぐう」からその小惑星の成分を持ち帰ってくることが期待されていますが、そこにアミノ酸が存在したとしたら生命が存在と関係させた話で世間は盛り上がるかもしれませんが、そこに高分子化合物同士の複雑系の痕跡がなければ生命とは全く違うらしいです。
セントラルドグマの各段階でも塩基の相補性に従っています。しかし、アミノアシルtRNA合成酵素による、特定のtRNAに特定のアミノ酸が結合していることは相補性では説明できません。今後の授業で出てきそうです。
また、細胞膜に覆われていることも生命現象には不可欠なことです。細胞膜に囲まれることで、複雑化された系が高濃度に存在することが出来ます。つまり人間関係でも濃密な関係ではなにかが起こるのと同じで、分子の相互作用が盛んになるために高濃度にしなくてはならないのだと思いました。もちろん外部の環境の変化から自分を守ることのためにも細胞という系で閉じられることは大切です。
【講義メモ】糖質工学 #1
糖質は様々なバイオシグナルに関わっているようです。
何も知らない人が糖タンパク質と聞いて想像したとき、タンパク質と糖鎖の大きさの割合はおおよそタンパク質が大きいんだろうなと想像すると思います。(自分もそうでした)しかし、タンパク質と糖鎖は同じくらいらしいです。
同じタンパク質でも糖鎖の種類はたくさんあるので、同じタンパク質の同じアミノ酸でも多様な機能を持ち得ることが想像できました。
しかも、小さなエネルギーでプロトンの位置が変換できるので異性体の数が多い糖が、連なっている糖鎖では、結合様式×その結合の位置も無数にあり、糖の修飾(アセチル化やリン酸など)も考えたら、糖鎖付加は最も多様性を生じさせる翻訳後修飾であると言うことはすんなりと受け入れさせられました。
今回の授業では糖鎖は外部から細胞を守るバリアーであると紹介されていました。
中でも面白かったのが、血管内皮細胞の細胞膜表面の糖鎖のシアル酸の負電荷と、血球細胞の細胞膜表面のシアル酸の負電荷が反発してリニアモーターカーみたいになっているから、血球は血管内をスムーズに流れることができると説明されていました。
でもそんなバリアーもインフルエンザウイルスのようなものにはNANAがHAに補足され、NANAaseに分解され侵入を許し感染されます。
またウイルスの感染に関連して。ウイルスがHAのようなものを使って、標的の細胞表面の糖鎖と相互作用して感染すると、ウイルスのDNAが感染細胞で転写翻訳され、感染細胞自身の糖鎖と相互作用出来るものが自身の細胞膜に発現することで、他の細胞と相互作用できるようになったことが単細胞生物から多細胞生物への進化であると先生は仮説されていました。自分もそう言う面白いアイディアを考えてみたいです。
「即戦力になる実験ノート入門 (わかる基礎入門)」 /吉村忠与志
私は実験ノートの書き方がいまいちわからなかったので、大学の図書館で借りて読みました。
この本には実験ノートを書く意味や、その利点、またタイトルにあるように実験ノートの書き方が絵や写真を用いて丁寧に説明されていました。
指示に従って何も考えずに実験をすることを単なる「作業」であり、なにも生産性創造性もなくては成功に繋がることはなく、日々の実験で「気づき」を実験ノートに書き、試行錯誤することで成功につながると書かれていました。そこで私はしっかり実験ノートを書かないことは、無駄に時間を消費してるのと同じだと思いました。適当に実験をやってる大学生なら自分の今までを見直し、せっかく大学に行ってるならちゃんとやろうと思うきっかけになります。
他の人が自分の実験ノートを見て実験を追試して再現できるような実験ノートを作れば正解であると思いました。そうすれば実験ノートには自ずと必要なことが書き込まれるはずなのです。
この本には実験ノートに必ず書かなければならないこと、やってはいけないこと、大学で実験をする上で必要なことが説明されていて、自分も実践してみたいと思いました。
【講義メモ】タンパク質構造論 #1
生物ではタンパク質組成がとても高いです。つまり生命限じゃあで主役となることが多いということを意味しています。動物細胞であればタンパク質の組成は水の次に多いです。
参照:https://rika-net.com/contents/cp0410/contents/s1/sec1-01-01.html
先生は「タンパク質は生命の素質」と説明して、生命と物質の間であるという旨の説明をしていました。しかし私の解釈ではタンパク質は生命現象の主役であるが、完全に生物ではないと思います。例えば、生命現象をディズニーランドとすると、タンパク質はキャストに過ぎないです。(主役とはいえ1人しかいないミッキーには例えられないけども)しっかりと働くキャストがいないとディズニーランドという場所があってもディズニーランドではないです。同様にしっかりと自分の役を演じているタンパク質がいないと細胞は生命とは言えないでしょう。
あとは、固有の立体構造がタンパク質に機能を与えると説明されていました。単なるアミノ酸配列では機能は持たないということですね。しっかりと立体構造をとることによって初めて機能を持ちます。立体構造をとることによって機能を持つと言えばいくつかのRNAにも当てはまります。単なる「ひも」では触媒などの機能を持つわけないことは日常生活でも想像がつきました。
ディズニーランドにいろんなキャストがいるように、タンパク質にも色々なものがあります。さらに、タンパク質の分類法は3種類あります。
またタンパク質の構造決定法はX線結晶解析法、NMR、電子顕微鏡法がある。X線結晶解析法はタンパク質の分子量が大きくても良いが、NMRの場合分子量が大きいとNMRスペクトルが広くなりすぎる。
以上の理由でNMRによるタンパク質データバンクの年次増加は頭打ちになっている。また電子顕微鏡は原子レベルのタンパク質が解析できる。
【講義メモ】 がんの生物学 #1
日本の昔の死亡率の原因一位は脳血管疾患だったが、医療が発達して寿命が延びたことによりDNA修復機構の衰えによる疾患、つまりがんによる死亡率が現在一位になりました。
最近自分の使ってるクレジットカードの会社からがん保険の優待?みたいなのが届いたのを思い出しました。がんは本当に身近な病気なのですね。
また、日本人におけるがんになる部位も昔と今とでは違ってきています。昔は男女共に胃がんによる死亡率が一位でしたが、現在は食文化の欧米化により男性では肺がん、大腸がん、女性では大腸がん、乳がんなどが上位を占めています。
きっと塩分が多い日本食から、肉食にシフトしたからだと思います。
日本とアメリカで比較すると、昔はがんによる死亡率は日米でそこまで変わりはなかったそうですが、現在に至るまでアメリカではがんによる死亡率が減少する一方、日本では増加しているらしいです。これを説明するためには、医療の発達だけでは説明がつきません。(日米で差がつく理由にはならない)
その理由の一つとして日米間のドラッグラグが挙げられていました。ドラッグラグとはアメリカで開発された新薬、抗がん剤が日本で実用化されるまで時間がかかることらしいです。それと二つ目の理由が、がんの検診率の差が挙げられていました。アメリカではがん検診をする機会が多いらしいですね。
WHOの疫学的調査によるとがんによる死亡率は40%が予防可能らしいです。
"その差は「検診受診率」!日本は欧米諸国と比べて最低水準であることが判明!"
https://www.google.co.jp/amp/s/prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000017.000013522.html
"Cancer Control: Knowledge into Action: WHO Guide for Effective Programmes: Module 6: Policy and Advocacy."
がんのリスクファクターには性別や年齢、遺伝子などの内因性の変えられないものもあるけど、大部分は外因性であるそうです。
外因性のリスクファクターのなかには自分の意思次第で改善できるものもあり、特に喫煙は本当にやめたほうがいいと思いました。
「生命と記憶のパラドクス」福岡伸一
前回「動的平衡」という福岡伸一先生の本を読んで面白かったので、先生の本をまた買ってしまいました。
生命と記憶のパラドクス 福岡ハカセ、66の小さな発見 (文春文庫)
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/10
- メディア: 文庫
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レビュー
福岡先生の週刊文春に掲載されたエッセイをまとめた本です。「動的平衡」の観点から、福岡先生自身の体験と絡めて科学、進化、芸術など幅広いことに関して語られています。
非常に美しいエッセイで、読んでいて気持ちが良かったです。本の題名から難しい生物の専門用語がたくさん出てきそうに感じましたが、誰でもが理解できる文章でした。しかし語られる内容はディープでとても興味深いです。
2、3ページのエッセイがたくさんまとめられている本ですが、章ごとに前後には話の繋がりがあり、筆者の体験と絡ませながら読み手にとっつきやすい導入から話が進められていきます。
文系、理系に関わらずおすすめできる本です。
感想※ネタバレ含む
働きバチは女王蜂の奴隷であり名の通り生涯働き詰めで死んでしまうということは、私にとっては、ブラック企業に死ぬまで勤めて一生を終えるように思えてしまいとても不幸な運命だと考えていました。しかしそれは勝手で自由な解釈であり、しんどい産卵を女王蜂に任せ自分は仕事や食事、外界の様々な経験を優先的にすることができる。つまり一番生を謳歌しているという解釈もできると語られていました。
しかし後者も勝手な解釈であるのは変わらないと私は思います。結局、事実からいろいろな想像はできるけど、人間の主観的な感想では他の生物が幸せか不幸せかなんてわからないです私は。もともと虫なんかに感情移入することがナンセンスだと思いますね。
他には、「微生物などは動物にとっての必須アミノ酸を自前で生合成できるという事実から、進化の過程で必須アミノ酸となる生合成経路を捨てた」という話がありました。私は今までこの事実を何も疑問には思ったが、ただ受け入れていただけでした。
福岡先生がこの本で自分の仮説を紹介していて、面白かったので自分もただ思考停止して事実を受け入れるのではなく、疑問に思ったらそれを上手く説明できるような理論を仮説してみようと思いました。
また進化ということについて少し私は勉強不足でした。突然変異した形質が世代を超えて残る、固定されるためには積極的理由が必ず必要。つまりただ生存、競争に有利、不利もなく無意味な突然変異による形質は固定されないということです。先ほど出てきた、必須アミノ酸の合成経路を捨てた「退化」にも見える進化は、何か積極的な理由により固定されたのです。福岡先生はその理由を仮説していました。
同様に深海の生物が視力を捨てた「退化」に見える進化にも積極的理由がないといけないとあり、非常に面白かったです。
「仮説する」ということに関連して、親が努力して得られた能力が子に遺伝するという仮説を唱えたラマルクは、かの有名なダーウィンの「種の起源」から派生したダーウィニズムによって完璧に否定されましたが、最近の研究でエピジェネティック継承という形で再び明るみを得てきているらしいです。つまり仮説が自分の予測もしないところで立証されることがあることに驚きました。
自分も何か仮説を提唱しておこうと思いました(笑)
- 作者: レイチェルカーソン,Rachel Carson,青樹簗一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/02/20
- メディア: 文庫
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あと印象に残った話が、レイチェルカーソンの著書「沈黙の春」でDDTや有機リン酸が生態系の平衡に与える影響を考察したところ、化学メーカーや圧力団体から激しく反撃を受けたとあり、私は権力やお金が集まるものに対しての喧嘩を売ると大変なことになることを知りました。現在でも「沈黙の春」を批判している人がいることはアグリの闇だと思います。
他にも面白くて考えさせられる話がたくさんありましたが、これ以上書くと多すぎるのでやめときます。
福岡伸一(ふくおか・しんいち)
1959年東京都生まれ。生物学者、青山学院大学教授。ロックフェラー大学客員教授。京都大学卒業。ベストセラー『生物と無生物のあいだ』(講談社)『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」を分かりやすく解説した著書多数。他に『できそこないの男たち』(光文社)『世界は分けてもわからない』(講談社)『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)『フェルメール 隠された次元』(木楽舎)など。
「アインシュタインとコーヒータイム」カルロス・ I ・カル (著), ロジャー・ペンローズ/まえがき (著)
テーマ
アインシュタインの人物伝をインタビュー形式で紹介していくという、読み手に飽きさせない工夫がなされた本です。「アインシュタインと話せるなら、こんなことを尋ねてみたい……。」という空想を実際の文献からアインシュタインの発言を元に再現されています。
また、彼の功績である特殊相対性理論や一般相対性理論などの説明をアインシュタインがわかりやすく例をあげながら簡単に説明してくれます。
ページ数も少ないし読みやすいし、ちょっとした空いた時間ですぐ読み終わっちゃいます(笑)
感想※少しネタバレ
私自身理系でありながらアインシュタインについて知っていたことは「相対性理論」「光電効果」「天才」くらいで、彼の人生やものの考え方などについては何も知りませんでした。なんとなく変人何だろうな、くらいにしか思っていませんでした。
アインシュタインが学生の頃「もし私が光と同じ速度で光を追いかけたら何が起こるだろう」と考え、静止している光を観察できるんじゃないか仮説したが、当時革新的であったマクスウェルの電磁気学を学ぶとその仮説に矛盾が生じることに気づきました。その矛盾を突き詰めていったら特殊相対性理論に発展していったのでした。そのことから矛盾を発見し、それを突き詰めていいくとこはとても大事だと思いました。
勉強していく中で自分の今までの考えと矛盾が出てくるようなことを見つけたら、それを出発地点にして研究していきたいと思いました。(随分たくさん勉強しないといけなさそう笑)
その他にもアインシュタインの宗教観などにも言及されていて、「私は、この世にみられる規則正しい調和こそ、神の現れであると信じている」と独自の宗教観を持っていたようです。それは自然科学の仕組みは神様が作ったものであると考えているように思えました。
自然界の力を一つの理論で記述する統一場理論を完成させようとしていた彼は、私には神を理解しようとしている、あるいは神に近づこうとしているように見えます。つまりこれがアインシュタインの研究に対するモチベーションを継続させる因子だったのです。
ここから、何か自分なりのビジョンを持って学問に向き合うことが成功に繋がると学びました。
この本を読んで少しアインシュタインについて知れたし、なんかためになりました。